口説くアプリでもキミを落とすのは無理だ
「わたしに話ってなに?」
ボクたちは公園のベンチに座っていた。風が冷たくて、冬の訪れを感じる。
「い、いや」
「はっきりしないと帰るよ?」
「ちょっと待って!」
ボクはとっさにスマホを取り出した。こんなときのためにボクは口説くアプリをインストールしていた。
この口説くアプリさえあれば、キミはボクのものさ。
ボクはそう思っていた。絶対にキミを落とせると思っていた。
ボクは口説くアプリに出てきた文章を読み上げた。
「キミの笑顔はまるで天使だ」
この口説き文句の落とし率は99.99999%と表示されていた。1億人のうち、落とせないのは1人だけ。
そんな確率をみてボクは絶対の自信を持っていた。
ジャンル:恋愛・ロマンス
作者:斉藤健二
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