追い返された暴走族の集会/愛甲猛8 - 全文

そんな時、不良仲間と遊んでいて補導され、逗子警察署に連行された。

仲間は引き取りにきた保護者と帰っていき、愛甲だけが残された。

彼は母子家庭で、母には仕事があった。

代わりに監督の渡辺元が引き取りにきた。

渡辺警察の方が「将来のある子だから」と、学校ではなく私に連絡をくれたんです。

昼間は地元の新聞記者が詰めているから、夜になったら署に来てほしいと。

そういう配慮をしてくれた。

だから真っ暗になってから迎えに行きましたよ。

署に行って署長さんと話をしました。

愛甲独りでポツンと残されていたら、警察官に「迎えがきたぞ」と言われてね。

パッと顔を上げたら監督がいた。

バツが悪かったよ。

この時の愛甲の表情を、渡辺は今でも覚えている。

渡辺悲しそうな、わびしそうな顔をしていてね。

その顔を見て、私は「この子を育てていきたい」と思った。

私も似たような境遇の時がありましたから。

渡辺は神奈川大時代に肩を壊して野球を断念した。

大学もやめ、自暴自棄になって道を誤りかけた時期もあった。

愛甲が自分の姿と重なった。

「立ち直らせたい」。

それは野球部の監督としてではなく、教育者としての決意だった。

渡辺は、愛甲の自宅へ通った。

愛甲監督がウチにきてくれた時、母親に「あんたから野球を取ったら何が残るんだ」と言われた。

確かにそうなんだけど、素直に「戻る」と言えなかった。

すでに野球部を引退していた3年生も自宅まで来た。

キャプテンだった三ツ木哲夫、バッテリーを組んだ吉田博之から「お前が野球をやらないでどうするんだ」と激励された。

暴走族の集会にも出た。

旧知の先輩たちに歓迎してもらえると思ったが、逆に怒られた。

「ここはお前がくるところじゃない」と追い返された。

更新時間: 1/11(木) 6:01

情報提供: 日刊スポーツ

キーワード:
愛甲 | された | 暴走族 | 集会 | |

転載: ヤフー ニュース

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