「残り100円しかないよ」ミツルの声には少しの希望が残されていた。
100円。それはちょうど1人ぶんのアイスを買えるだけの金額。その金額が残っているということは、とうぜんここが戦場になる。
「ミツル、わかっているな?その金は2人の金だ」
「わかってるよ。1人50円ずつってことでしょ?」
「そのとおり。だが、50円ではなにも買えない」
「つまり?」
「つまり、ここで私と勝負をしないか?」
「さすがおっさん、くさってもバイニン。夏バテでも麻雀屋だね」
「お前こそ、殺気が大きくなっているようだ」私はミツルの目をにらみつけた。
やつに殺気で負けてはいけない。どんな手段を使ってでも勝負に勝ち、やつから100円を手に入れるしかないのだ。
「麻雀屋にむだな会話は必要ない。さあ、勝負のルールを説明してもらおうか」
「じゃあ、これでやろう」ミツルがテーブルの上にそれを置いた。
それを使った勝負は初めてである。しかし、私にはやつのパターンがわかっている。やつのやりそうなイカサマを封じれば、私が勝つのは必須であろう。
ジャンル:ミステリー・推理
作者:mican
URLをコピーして、あなたの友達や家族にオススメしましょう。
⇒本を編集する